オーバーホールについて
オーバーホールはただ分解して掃除するだけのものではありません。外部、内部を細かに点検し、かすかな不具合も見逃さず、本来の機能を確実に発揮できる状態に戻す、そんなきめ細やかな作業です。車に車検があるように、 腕時計にもオーバーホールが不可欠です。

まず、じっくりと診断。
はじめに、技術者がお預かりした時計の診断のため、機能や外装の状態をじっくり調べます。プッシュボタンやベゼルの動き、ブレスレッドの傷み具合、機械の作動具合などの診断、ルーペによるネジやテンプの精査、ローターによる巻き上げ具合などを診断します。
固く閉じられた裏蓋をケースに傷をつけることなく開けるために、専用の工具・ケースオープナーを使用します。タグ・ホイヤーでは一つ一つのモデルにあった専用ベース(型)を使用して、裏蓋を開けます。これらの工具は正規のサービスセンターにしかないものです。

すべてのムーブメントを分解、洗浄します。
3針の時計でも100個以上、クロノグラフのモデルなら約300個にもなるというパーツを一つ一つ分解します。その過程でムーブメントの状態を丁寧に調べ、磨耗や破損したパーツを交換します。分解したパーツは、パーツ同士でこすれないように硬度や形状別に分類して、仕切りのついた専用の洗浄カゴに入れ、超音波精密部品洗浄機で洗浄。専用の洗浄液と超音波で、小さなパーツに付着した汚れまで完全に除去します。

専用の機械油を注油し、組み立てます。
洗浄されたパーツはその後、乾燥させます。そして、それらに機械油を注油しながら一つ一つのパーツからムーブメントを組み立てていきます。繊細なムーブメントをスムーズに稼動させるためには、機械油の果たす役割が重要になります。機械油は、部品同士のかみ合わせによる磨耗の防止やスムーズに動くための抵抗の軽減という重要な役割を果たしています。用途や場所によって粘度の異なる油を使い分け、微妙に太さの違うオイラー(油を注油する道具)で丁寧に注油していくのです。

テスターでタイミングを測定、調整します。
まず、組み立てられたムーブメントのみでタイミング(精度)テストを行い、調整します。その後、ムーブメントに文字盤と針を取り付け、ケースに組み込み再度各種のテストを行います。測定は、専用のテスターで行います。測定の状態に応じて、専用工具を使って緩急針を調整。熟練したテクニックが必要な、非常にデリケートなプロセスです。

防水テストを徹底的に行います。
防水機能は、水入りという時計としての致命的な事故を防ぐためのものです。時計の内部に水が入ると、機械パーツの交換にとどまらず、針や文字盤の交換まで必要となる場合があります。タグ・ホイヤーでは、防水パッキンをすべて新しいものに取り替え、裏蓋ネジを締め直して防水テストを行います。ひとつひとつの時計について、エアーをかけての空圧テスト、必要に応じて水中加圧式による防水テストも行います。すべての条件をクリアーしたものだけが、次のプロセスに進むことができるのです。

自動巻き上げ装置で、
7~10日間精度測定を行います。
オートワインダーという自動巻き上げ装置に時計をセットし、ローターの巻き上げと時計の動きをテストします。実際の使用状態を想定した1日8時間という稼働時間で、約7~10日間測定し続けます。その結果によっては、再びタイミング調整を行います。こうして、正しく時を刻むためのオーバーホールは完了します。

メンテナンスカルテを作成します。
オーバーホールが完了したら、メンテナンスカルテを作成します。タグ・ホイヤーでは、時計のシリアルナンバー毎に、交換したパーツや点検した場所などの履歴を記録したデータを作成、お客様の時計の情報はすべてきちんと管理されています。次のオーバーホール時や万が一修理が必要になった時にも、情報を的確に反映できるようなシステムをとっております。オーバーホールされた時計は、丁寧にお包みしてお手元にお届けいたします。
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